2016年8月30日火曜日

対談。Lamp × 新川忠(2)


C H A P T E R 2 思考停止。

榊原 ほんと最近、思考停止具合がヤバい。

全員 (笑)

榊原 考えることを放棄してるよ。

新川 あ、おれもそう。

染谷 仕事でってこと?

榊原 う~ん。

新川 なんか全体的に思考停止。

榊原 うん。

新川 だから記憶力めちゃめちゃ悪くなったね。

榊原 そうなの。

新川 なんにも思い出せないの(笑)。
   なんにも覚えてないの(笑)。

染谷 「あの人誰だっけ?」とか?

新川 そうそう。映画とか観てて
   「あ、この俳優また出てる。
    なんつったっけ?
    ほら、あの有名な人だよ。
    えっとえっと・・・」って。

榊原 うん。

染谷 ちなみにそれ、自分との会話ですか(笑)?

新川 自分との会話。

全員 (笑)

新川 「あの映画に出てた人だよ」
   っつって、その映画のタイトルも
   思い出せなくて(笑)。
   「あの人が監督した映画・・・」
   その監督の名前も思い出せなくて(笑)。

永井 (笑)

染谷 それわかる(笑)。

新川 もう「全滅」っていうパターン(笑)。

染谷 映像としては思い出せるんですよね?

新川 思い出せるんだけど・・・
   固有名詞が出てこない(笑)。

染谷 そうそう。

新川 自分の好きなものとか、
   興味あるものですら忘れるよね。

染谷 うん。

榊原 なんか、好きなものが減ってきた。
   ほんとに。

新川 あ、それもおれ一緒。

永井 それ、悲しいよね(笑)。

新川 だから、インスピレーションが・・・
   ないのよ。

榊原 うーん。

新川 刺激を受けることがなくて・・・
   それでねぇ、制作の進みが遅い
   っていうのもあるんですけど。
   創作意欲を掻き立てられるような瞬間が、
   ほんと、なくなってきてて。

永井 染谷先輩、それはないでしょ?

染谷 まぁ、でも、少なくはなってるよ。
   やっぱり10~20代のころに比べるとね。
   でも、そんなにハイペースで
   曲作ってるわけじゃないから・・・
   「こういう音楽やりたいなぁ」
   っていうのは、まだありますよ。

新川 おれ、ヤバい、もう(笑)。
   「Paintings of Lights」で
   使い果たしたかも(笑)。
   創造の泉の・・・その水をね。

全員 (笑)

新川 枯れちゃって(笑)。
   「Paintings of Lights」で、
   最後に残ったわずかな水たまりを
   小鉢ですくいとって・・・
   今、もう土なんですよ。

永井 (笑)

新川 だから、今ぼくが作ってるもの・・・
   まだ聴いてもらってないから
   なんとも言えないけど、あの・・・

染谷 自信ない?

新川 う~ん・・・
   以前はね、ぼくの曲は
   どれも「元ネタ」があって・・・
   モノマネだったんだよね。
   「このサウンドをやりたい!」
   と思って、それとそっくりなものを
   作るのが(笑)、いわば、
   ぼくの表現だったんだけど・・・

榊原 うん。

新川 モノマネしたいものが、
   今はないわけ(笑)。
   だからオリジナルなものを
   作るしかなくて・・・

榊原 (笑)

永井 面白いッスね、それ(笑)。

新川 それが普通なんだろうけどね(笑)。
   でも、ぼくの場合は、何にも似てないと、
   いいのか悪いのかの判断が
   よくできないんだよ(笑)。

永井 (笑)それはちょっと難しいですね。

新川 聴く人によっては「カッコいい!」
   って言うんじゃないかな?っていう
   ムシのいい期待もあるんですけど(笑)。
   ・・・でも、すごい混沌としながら
   作ってますね(笑)。

染谷 永井は、人にどう言われるか
   っていうのは、全然考えないでしょ?

永井 作るとき?

染谷 うん。

永井 あんま、考えないですかねぇ・・・
   やっぱり自分がゾクッって来る感じが
   あればいいなぁ、みたいな。
   ・・・まぁ、なかなかないッスけどね(笑)。

新川 でも、それがないと
   作り進められないわけじゃん。

永井 そうですね。

新川 あんまり時間かけてるとさ、
   最初にあった自信とか
   揺らいできちゃったりするじゃない。

永井 はいはい。

新川 曲を思いついた時点では
   「最高だ。イケる」と思っても、
   延々あーでもないこーでもないを
   やった結果
   「もうわかんなくなっちゃった・・・」
   って、ならない?
   自信って、最後まで継続する?
   曲作ってて。

染谷 ぼくの場合は、なんだろうなぁ・・・
   たぶん、思いついたときが一番いい
   とは思ってるんですけど・・・
   で、やっぱり作り進めていくうちに、
   時々その感覚が失われるとこまで
   来ちゃうんですけど・・・

新川 来るでしょ?

染谷 でも「この曲は出すに値しない」
   ってとこまでは、なかなかいかないですね。
   自信の継続・・・っていうより、
   作り進めたものに対してどう感じるか
   っていう対話を続けてく感じだから。
   そういう意味では、どんどん評価は
   変わっていくんですけど・・・

新川 「もうやだ~、これ~。やめる~」
   みたいなことにはならないか。

染谷 あんま、なんないですよねぇ。

永井 最初の感覚って、だいたいなくなるよね。
   「こんなはずじゃなかったんだけどなぁ」
   って、最後いっつも思う(笑)。

染谷 うん(笑)。

新川 おれも。完全に途中で喪失する(笑)。

(つづく)