2016年8月31日水曜日

対談。Lamp × 新川忠(3)


C H A P T E R 3 山下清的な・・・。

新川 「Paintings of Lights」の
   リリースから1年半経ったけど、
   それは同時にBotanical House
   (Lampが立ち上げたインディーレーベル)の
   活動1年半になるわけで・・・

永井 そうですね。

新川 振り返ると、けっこうタイトルを
   出しましたよね?

染谷 まぁ、それなりには出しましたねぇ。

新川 最初ぼくのが出て・・・
   次がKIDSAREDEAD

染谷 そう。

新川 しかも2枚も出したよね(笑)。

染谷 あと、その間にダニエルの・・・

新川 あ、ダニエル・クオンのリイシューか。
   ここまでで4タイトルでしょ。

染谷 で、この前の菅井くん。

新川 あ、菅井協太さん。
   あれさぁ、あの、香保里さんが
   映像をつけた、アルバムの・・・

榊原 はい、トレーラー

新川 びっくりしちゃった。
   「こ、これは・・・!」(笑)。

榊原 (笑)

新川 いろんな意味で
   びっくりしたんですけど(笑)。
   ほんとに突き放してるなぁ
   っていうかさ(笑)。
   わかる人だけわかればいい
   というような・・・
   でも、それが強烈だったんですよ。
   すごい世界確立してるなぁと思って。
   音楽も、あの映像も。

榊原 菅井くんはそんなつもりないよね?
   たぶん。

染谷 まぁ、
   「ぼくの一番マニアックな部分が
    そのまま出てる作品なんで、
    聴く人なんて数人しかいないですよ」
   とは言ってた(笑)。
   でも、その後に
   「まぁ、見ててください。
    これから何年かすれば、
    もう少し結果出ますから」(笑)。

榊原 (笑)

永井 すごいねぇ。

新川 野心家だねぇ。
   あ、一応燃えてはいるというか(笑)、
   売れなくてもいいとか
   そういうわけではないんだ。
   じゃ、プロモーションに関しても・・・

染谷 積極的ですよ。

新川 あ、そうなんだ。
   そういうの全然ない人なんだと思ってた。

染谷 まぁ、そう見えますよね。

永井 あの音楽の印象だとそうですよね(笑)。

新川 だって、香保里さんの
   あの映像だってびっくりしますよ。
   オープニングのショット、お墓ですよ?

染谷 (笑)

榊原 いや(笑)、わたし、あれ、
   全然菅井くんのこと考えてなくて・・・

新川 (笑)

榊原 でも、あれはあれで、
   わりと真剣に(笑)。
   めちゃめちゃ時間かけてやりました。
   すごい楽しかったです。

新川 撮影も香保里さん?

榊原 はい。

新川 あ、自分で撮ったんだ。

榊原 まぁ、菅井くんの音楽、
   ほんとすごい好きだから、
   どんどんアイデアが浮かんできましたねぇ。
   いっぱいノートに書いて・・・

新川 素晴らしいよ。
   いや、ほんとに感心しましたよ。
   映像作家としての能力がある人なんだ
   と思って・・・

榊原 そんな(笑)。

新川 だってあれ、昔の・・・
   それこそ30年代とかの
   サイレント映画だって言われたら
   信じちゃうもん。
   もう、カメラの位置とか
   動き方とかが完全に映画なんだよ。
   あんなの素人に撮れないですよ?
   いや、マジで。

全員 (笑)

榊原 初めてですよ。
   そこまで言われたの(笑)。

新川 (映画を)観てる人だなぁって
   思いましたよ。

榊原 いやいや。

新川 (Lampの)「さち子」のMVのときも
   そう思いましたけど。
   「あ、こういう画を撮れちゃう人なんだ」
   って・・・あ、もちろんぼくのやつ
   (「アイリス」のMV)もね。
   ありがとうございました、その節は。

榊原 (笑)あれはあれで大変でしたね。
   そういえば。

新川 あれもよくできてますよ。
   よくここまでできたなぁと思って。

榊原 低予算で(笑)。

新川 うん(笑)。
   もっとやらせるべきだと思いましたけど。

永井 (ウェブサイトに)
   「映像のお仕事はこちら」って(笑)。

新川 そうそう(笑)。
   ・・・でも、頼まれ仕事的な感じだと
   できなかったりするのかな?
   そういうことだと
   できなくなっちゃう人もいるじゃん。

永井 うんうん。
   香保里さんは、
   すごいそういう人な気がする(笑)。

榊原 う~ん・・・そうですね。
   やっぱり自分がちょっとでも
   関わってる感じじゃないと
   難しいかもしれない。
   自信も全然ないですし・・・

新川 職業作家に向かない人っているじゃない。
   「た、頼まれた絵は描けないんだな」
   っていう(笑)、山下清的な・・・

全員 (笑)

新川 ほんとに作家としてしか作れない
   っていうさ。
   その逆もまた然りだけど。
   職人タイプの人とか。

永井 新川さん、どっちタイプですか?
   職人か作家タイプかでいうと。

新川 ああ、おれはそのへんの線引きが
   ちょっとわからない。
   どっちもあるような気もするけど・・・

永井 けっこう器用に、
   なんでも作れそうな気がしますけどね。

新川 う~ん。ただ、やっぱり・・・
   音楽は仕事にしたくない
   っていうのは、あるんですよね。

全員 ああ。

新川 職業的に音楽をずっと作り続ける
   っていうのは・・・たぶんムリ。
   たまにやるぐらいだったら
   いいんだろうけどね。
   ・・・仕事はやっぱり
   音楽と全然関係ないものをやりたい。

染谷 それは、音楽が好きだから
   ってことですか?

新川 ・・・う~ん(しばし黙る)。
   ・・・かもしれない。
    そうだと言ってしまってもいいだろう、
    うん(笑)。

染谷 (笑)

新川 意外だけど、作家の部分を
   大事にしてるのかも・・・
   自分で思ってる以上に。

(つづく)