2016年9月2日金曜日

対談。Lamp × 新川忠(5)


C H A P T E R 5 ロマンチスト。

新川 今、レコーディング中でしょ?
   どんな感じですか?

染谷 どうなんでしょうねぇ・・・
   まだそんなに進んでないですねぇ。
   まぁ、ほんとに・・・
   まだ全然わかんないですねぇ。

新川 香保里さんはどうですか?
   もう歌詞とか書き始めてるんじゃないの?

榊原 歌詞はもう書いてます。
   今回は年末くらいから
   すごいせかされて。

新川 今回も作詞は、ほぼ香保里さん?

榊原 いや、そんなことないけど・・・
   半分くらいかな?今んとこは。

永井 ・・・新川さん、歌詞ってどうですか?
   年とるにつれ、変わったこととか、
   ないですか?

新川 作詞のアプローチは、
   ちょっと変えてますね。
   なんか、今までのような
   後ろ向きな世界観にウンザリしてる
   っていうのもあって(笑)。

永井 あ、「悲しい歌、ヤだなぁ」
   って感じですか?今。

新川 もう・・・ちょっと書きたくないかなぁ。

永井 う~ん。いや、最近友達が・・・
   昔はなんか暗い歌が好きだったような
   印象の友達がいるんですよ。
   「かげり」があるような歌が。

新川 うん。

永井 その友達と話してて・・・
   なんかの音楽がかかったときに
   「あ、これヤだ」とか言って。
   「この悲しい感じとか、もういいわぁ」
   って言ってたんですよ。

新川 ああ、うんうん。

永井 で、また別の友達も・・・
   ハッピーエンドが好きになった
   って言うんです。
   とくに最近。

新川 ハッピーエンドって・・・

永井 映画の。

新川 あ、映画のハッピーエンドね。

永井 だから、悲しい映画とかすごい嫌い。
   悲しい終わりがヤだと。

新川 はいはい。

永井 で、やっぱり、ある程度年をとると、
   そうなるものなのかなぁ?
   って思ったんですけど・・・
   
新川 うん、そう思う。
   ぼくもそうなったから。
   だから、暗い歌が嫌いになったのも、
   ハッピーエンドが好きになったのも、
   すごくよくわかる。

永井 ・・・ぼくは、そこらへんは
   あんまり変わんないんですよね。
   やっぱり、切ない、
   泣きそうな歌が好きだし・・・
   なんかその、悲しくてヤだ
   っていうのは、ないですね。

染谷 おれも全然ない。

新川 でも、わかんないよ?
   あと3年で変わるかもしんない。

全員 (笑)

永井 一気に(笑)?

新川 そうそう(笑)。
   いや、わりと一気に来ちゃうと思う。

永井 ちなみに「Paintings of Lights」までは
   「かげり」がある感じでしたよね?

新川 「かげり」ありますね。
   でも、あのアルバムの最後に作った曲が
   「眺めのいい部屋」だったんですけど、
   あれだけちょっとポジティブな歌なんですよ。

永井 ああ、たしかに。

新川 「これから新しい生活が始まる」
   っていうシーンを書いた歌だったんで。
   だから、そこからもう変わってますね。

永井 ああ・・・
   ぼく、新川さんの暗い曲のほうが、
   やっぱ全然好きなんですけど(笑)。

新川 (笑)そうでしょ?

永井 はい(笑)。

新川 だから新作は
   気に入られないかもしれません。

全員 (笑)

新川 もう、暗い歌
   ことごとくボツにしてるもん(笑)。

永井 (笑)

新川 だからその後・・・
   1曲、ハッピーな歌を書いてみたの。
   こう、結ばれたばかりみたいな
   男女の情景を描いた歌を・・・
   やっぱり気分良かったの、すごく(笑)。
   書き上げたときに。
   なんか「幸せで良かった」って思って(笑)。

榊原 (笑)

新川 実際の、今のおれには
   全然そんなことないんだけど(笑)、
   その、歌の中だけでも
   幸せな二人を描けたっていうのが・・・
   なんかすごくね、充足感があって。

永井 へええ。

染谷 それで言うと、
   逆にぼくは・・・自分自身は
   めちゃくちゃポジティブで・・・

榊原 そうだよね(笑)。

染谷 ハッピーだから・・・

永井 (笑)

染谷 そういうことは、全然作品に
   求めてないんですよね。
   そもそも、おれ、
   自分の作品と自分の実生活って、
   まったく切り離されてますから。

新川 うんうん。
   私小説を書くタイプじゃないからね。
   自分の実体験とか、
   詞にしたりしないでしょ?みんな。

染谷 うん。

榊原 ・・・

新川 香保里さんは、ちょっと、する?

榊原 う~ん。実体験ってわけじゃないけど・・・

染谷 まぁ、何かこう・・・

榊原 きっかけは、ある。

染谷 うん、きっかけとか影響は、
   少しはあるけど・・・
   でも、そういうことで言うと、
   自分の詞の世界・・・世界観
   っていうのは、どこから来てるんだろう?
   って、よく思いますよねぇ。

新川 うんうん。

染谷 けっこうロマンチストなんだなぁ・・・
   とか思う。

新川 そう思うよ。

榊原 (笑)自分で?

染谷 そう思わない?

永井 たしかに。
   染谷先輩はロマンチストだよね(笑)。
   まちがいなく。

染谷 (真顔で)ロマンチストなんだよ。

榊原 (笑)

染谷 新川さんと一緒で。

新川 うんうん。

永井 ・・・ちなみにね、
   おれもロマンチストだよ。

榊原 (笑)

新川 永井さんもそうですね。

永井 ええ。

新川 いや、けっこう、我々、
   救い難いロマンチストですよ。

全員 (笑)

染谷 名言が出た(笑)。

新川 (笑)

(おわり)


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2008年発表、オリジナルアルバムとしては4枚目となるLampの名盤「ランプ幻想」がアナログ化。2016年9月16日発売予定(詳細はこちら)。