2015年5月18日月曜日

対談。安田寿之 × 新川忠(6)


C H A P T E R 6 カフェにて。




新川 さっき(安田さんのスマートフォンに)
   息子さんの写真、ありましたね。

安田 あー、まぁ、そうですね。
   まぁ、それなりに・・・

新川 (笑)もう可愛くてしょうがないでしょう。

安田 そうですねぇ。
   最近けっこうよくしゃべるように
   なってきたんで。
   やっぱり、当然なんですけど、
   自分と違う人格を持ってるんで、
   面白いですね、それは。
   自分はもっと・・・
   どんくさかったなと思ってるんですけどね。

新川 あ、安田さんが子供のころってことですか?

安田 そうそう。
   でもまぁ、子供って
   そんなもんだと思うんですけど。
   だから、けっこう信頼してるっていうか・・・
   2歳にして。
   ちゃんとやっていくんだろうなぁって(笑)。

新川 この子は大丈夫だろうと。
   どうですか?観察してて
   「あ、こいつ、こういうとこ、
    おれと一緒だな」
   みたいな発見することあります?

安田 うーん・・・
   顔はね、似てるんですよ。
   残念ながら(笑)。

新川 (笑)

安田 顔以外はあんまり、
   今んとこ、そういうのはないですねぇ。
   ぼく、けっこう暴れまくってたんで、
   子供のとき。

新川 (笑)暴れまくってたんですか?

安田 悪いことしてたわけじゃなく、
   外で遊びまくるような・・・

新川 やんちゃ坊主。

安田 そうですね。
   うちの子供は、けっこう慎重派なんですよね。
   だから、そこらへん
   ちょっと違うなとも思いますし。
   こないだ保育園でケガして帰ってきて・・・

新川 ええ。

安田 保育士さんが言うには、
   誰かに押されたって言うんですけど・・・
   たぶん、それ、誰がやったか
   見てたかもわからないんですけど、
   特定して「誰かにやられた」って言ったら、
   トラブルになるんで言わないっていうのも、
   あると思うんですけど。

新川 あー、そこは伏せてるっていう。

安田 誰にやられたっていうのは教えてくれなくて。
   なんか
   「気がついたらケガしてました。すいません」
   って言われて
   「あ、全然いいですよ」って。
   ・・・で、子供に、家に帰って
   「誰にやられたの?」って訊いたら・・・

新川 (笑)ええ。

安田 誰かって言うかなと思ったら、
   「自分でやった」って言うんですよ。

新川 おおー。

安田 ほんとかもしれないし、
   ちょっとわからないんですけども(笑)。
   でも、何回か、2~3回ケガして、
   いっつも
   「誰にやられたの?」
   「自分でやった」
   って言うんで・・・
   どうなのかなぁ、ほんとなのか・・・
   「誰かにやられた」って、
   子供だったら言いそうなのに。

新川 いやー、でも、
   意外と気を使ったりするときありますから。

安田 あー、そうですね。

新川 ちっちゃい子でも。
   ちっちゃい子なりに。

安田 うんうん。
   ・・・でもまぁ、こう、
   新しいことをいろいろ覚えていって、
   それを追体験してるみたいなとこも
   ちょっとあるんで、自分も同じ目線で。
   それは面白いですね。

新川 それはよく聞きますね。
   それを面白がれるのって、
   いいなぁと思うんですけど・・・
   あの、ぼくはどっちかって言うと・・・
   自分の子供なんて欲しくないっていうような、
   ネガティブなことを思ってしまってて(笑)。

安田 はいはい。

新川 っていうのは・・・
   過去の自分に
   あんまりいい印象を持ってなくて・・・
   ほんとに辛いことだらけだったんで(笑)。

安田 (笑)

新川 ネガティブなイメージがすごいあるんです。
   自分の人生に対して。
   だから、その追体験っていうのを、
   ぼくは面白がれない気がして・・・
   だから、家庭を持ちたいとか、
   結婚願望も、ないんですよ。
   今のところ。

安田 あー、でも、ぼくも全然、
   そんな子供欲しいと思ってなくて、
   結婚もしたくないって思ってましたけど・・・

新川 ほんとですか。

安田 ええ。まぁ、なんか、
   タイミング・・・ですね。

新川 やっぱそういうものなのかぁ・・・

安田 うーん。

新川 そういう時が、訪れたんですね。

安田 なんかこう、
   責任をとらなきゃいけない局面が
   出てきますよねぇ(笑)。

新川 (笑)

安田 別にできちゃった婚とかでも
   ないですけど(笑)。
   なんですかねぇ・・・
   2ndアルバム
   (「ELECTRO_BITS_INDEED」)
   作ったときに、なんか・・・
   結婚・・・してくれないの?
   みたいな話になって。
   で、なんか成り行き上
   「じゃ、次のアルバムできたときに」
   っていうことになっちゃったんですよ(笑)。

新川 どういう成り行きかなぁ(笑)。

安田 その場を収めるために、
   そう言うしかないみたいな(笑)。

新川 (笑)

安田 で、まぁ、異例の早さで
   作ることになってしまって(笑)。
   1年後に作らなきゃいけないことになって。
   で・・・結婚しましたねぇ。

新川 (笑)そういう事情があったんですね。
   でも、そういうのってあるかもしれないなぁ。
   行きがかり上、
   そうなってしまったっていうような・・・

安田 うんうん。
   だから、全然なんも、
   無理することはないと思いますけどねぇ。
   そうなるときが来れば・・・

新川 来るんですかねぇ。
   わかんないけど。

安田 まぁ、奥さん同い年なんで、
   ちょっと年齢のことを・・・
   子供に関しては、
   やっぱり考えないことはなかったですけど。

新川 まぁ、そうでしょう。
   ご結婚されたとき、おいくつでした?

安田 えっと・・・32、ですかね。

新川 ちょうどいい時期ですよね。
   奥さん、専業主婦ですか?

安田 いやいや、働いてます。

新川 やっぱ働いてます?
   共働き。

安田 はい。その、90年代にバイトしてたとこで
   知り合ったんですよ。

新川 あ、そうなんですね。

安田 はい。だから・・・
   バイトした甲斐もあったなって(笑)。

新川 (笑)縁ですね、ほんとそういうのは。

安田 彼女、東北出身で・・・
   岩手なんですけど。

新川 そうなんですか?
   ぼくの母親と一緒です。

安田 あ、そうですか。
   一関なんですけど・・・

新川 えっ、おんなじですよ!

安田 ほんとですか(笑)。
   もしかして近いかも。

新川 意外とそういうのあるんですよねぇ。
   ・・・そうだ。
   アルバム(「Nameless God's Blue」)の
   2曲目(「Sei gradi di separazione」)
   だったかしら。
   セイ・・・

安田 セイ・グラディ・ディ・セパラツィオーネ。

新川 なんて意味でしたっけ?

安田 六次の隔たり。

新川 6人介すと誰とでもつながれる
   っていう話をもとにした歌ですよね?
   今の話で、この歌のことを思い出しました。

(つづく)